★2021年、黒田のひとりごと

火曜会65周年記念講演会に参加しました 2021年11月

経過観察と個別対応 〜明日の臨床と患者との未来を築くために〜

1955年、スタディグループ”火曜会”は誕生しました 。患者さんのそれぞれの特徴、問題点を”ひと”(一個人単位)”くち”(一口腔単位)”は”(一歯単位)で診て評価し、その特徴から症例の流れを読み”個別対応”を心がけること行なった処置の妥当性を”経過観察”をしながら評価し、次に活かすこと、これらを大切にするスタンスは、今も昔も変わりません。派手さはありませんが基本に忠実に時代が変わっても時代に流されない存在でありたいと私たちは考えています。

講演会詳細

11月13日 13:00~17:00 経過から考える補綴臨床
 演者:金子一芳・筒井純也・設楽幸治・西島泉・若松尚吾・中舘正芳・中村一寿・村埜啓真
11月14日 10:00~13:00 患者の個体差を診る歯周病治療
 演者:千葉英史、鷹岡竜一、鎌田征之、斎田寛之、今村亮祐
11月14日 13:45~16:00 歯根膜移動が拡げる明日の臨床
 演者:松井宏榮、中村輝夫、甲田和行、林直也、江尻健一郎
11月14日 16:00~17:00 人の成長発育と高齢化にあわせた歯科医療
 演者:須貝昭弘

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1日目は金子一芳先生の見事なプレゼンに驚かされました。よくぞ40年以上昔のことが思い出されて現在の考えにつなげられて、凄いなーと驚かされました。若手の西島泉先生の発表にも驚かされました。すれ違い咬合の難症例に何度も何度も試行錯誤を繰り返していく努力に脱帽しました。このような努力をする歯科医に育て上げた火曜会の奥深さに感動しました。

2日目は火曜会らしさと素晴らしさと緻密さと・・・・、驚かされてばかりで圧倒されました。千葉英史先生の緻密な歯周治療から始まり、鷹岡竜一先生の見事な補綴との関連を整理され、それが若手へ伝承されと行く様子がよく分かる素晴らしい発表でした。松井宏榮先生の歯根膜移動の発表は、これまた見事で、深い探究心と思慮深さが述べられて、ただただ感服の連続でした。

最後の須貝昭弘先生の発表は、断片的には伺っておりましたが、それがさらに充実されてきて素晴らしいです。この内容で心を動かされない歯科医は居ないと思います。是非、ぜひ、もっと広まってほしいと思いました。
先生方はみんなプレゼンのきれいさ、X線写真のきれいさ、まとめ方、訴え方、・・・本当に凄いです。火曜会の実力をまざまざと見せつけてくれる発表に感嘆あるのみでした。振り返って自分を考えると、救歯会30周年があまりにもお粗末だなーと反省することばかりで、今更、背伸びしてもとても追いつけるレベルでは無いことを十分に感じさせてくれる2日間でした。

こんなに凄い火曜会を、もっともっと一般の歯科界が知って欲しいと思いますし、知らせるすべがないものかと思います。メディアにも、日本歯科医師会へも、どうにかしたいと悩んでおります。私に(救歯会でも)できることがありそうなら教えて欲しいです。素晴らしい火曜会65周年記念会をありがとうございました。

熊本KDMで講演してきました 2021年11月

10月30日(土)、31日(日)2日間を3時間ずつ話してきました。これほど多くの時間を一人だけで話したことが無かったので、とても充実していましたが、とても疲れました。2年振りでリモートでなくリアルで話しができたので、快適でしたからつい乗ってしまいました。というのも、聴衆が親しいスタディー・グループの熊本KDMの方ですから、話しやすく、学閥も無く、先輩・後輩も無く、とっても話しやすい環境でした。敵愾心が無く、批評家的で無く、揚げ足とる雰囲気が無く、気持ちよく話をさせてくれました。これほど話しやすい講演は今までありませんでした。それに、ビデオ撮影とカメラ撮影をお断りして、患者さんの症例ばっかりの話しでしたから、話しやすいこと最高でした。ホンネがあちこち言えましたし、自分でも乗ってくるのが感じられるほどでした。やはり聴衆によります。寝てる人は一人もいないし、真剣に聞いてくださってる方ばかりだし、メモを一生懸命にとっている方もいましたし、ついつい乗せられて、皆さんにお礼を申し上げたいほど気持ちの良い会でした。本当にありがとうございました。


とても楽しい雰囲気が見て取れるでしょう。ノリに乗った講演とその後の懇親会がいかに楽しかったか
これらの表情から感じ取れると思います。

コーヌスクローネ」の改訂版を出しませんか? 2021年9月

今から37年前に「コーヌスクローネ」を出版しました。おかげさまでたくさん売れました。2016年に16刷になりました、これほど版を重ねるなんて・・・驚きました。もうとっくの昔に鉛の版で印刷する時代が終わりましたので、その頃に改訂版を作りませんかと出版社にしつこく言われました。私にはもう体力と情熱がありませんからとお断りしました。出版社はまだ注文が来ますから困り果てて、「コーヌスクローネ」をそのまま写真に撮って写真製版にいたしますがよろしいですかと言ってきましたので、それならどうぞとご返事して現在に至っております。まだこの本は売られております。定価は\15,000円です。新版の「検証・コーヌスクローネ」は同じ価格です。ページ数も増えて、写真枚数も大幅に増えて、この価格ですから、絶対にお得です。これには私がしつこく価格交渉をいたしましたいきさつがございます。第2刷以降は価格が上がるかも知れませんので、今回がお買い得ですのでオススメです。

コーヌスクローネに取り組んで40年以上になります。その頃は遊離端欠損に緩圧しない支台装置は考えられません。私は臨床家として緩圧の問題をたくさん経験してきましたので、非緩圧でパーシャルデンチャーを作ろうと試行錯誤を始めていました。スタイガーとボイテルのチャンネルショルダーピンやベトガーのテレスコープシステムなどを試しながら行っていました。平行軸面のテレスコープはすぐに維持力がなくなってしまうので、角度を付けた内冠にしてテレスコープを作ってみましたら、維持力がきつくて外れないということが起きました。この時には「コーヌスクローネ」という言葉も知りませんしコーヌス・テレスコープは全く知りませんでした。ケルバーという方も知りませんでした。不勉強でスミマセン。これをキッカケに自己流でコーヌスクローネにのめり込んでいきました。

当初は維持力が強いので内冠が脱離したり、義歯が外れなかったり、多くのトラブルを経験しました。トライアンドエラーの連続でした。そのうちコツが掴めるようになってからはコーヌスクローネの良さがはっきりと認識できるようになりました。「何でもよく噛める」という患者さんからの評価が何よりです。支台歯の歯肉がきれいなこと、歯が抜けずに長持ちできること・・・など、良いことずくめです。

検証・コーヌスクローネ」出版できました 2021年9月

「検証・コーヌスクローネ」はサブタイトルが「長期経過症例と臨床統計からの再評価」と題しています。救歯会30周年記念発表会の当日にご覧頂けるように準備していたものです。救歯会30周年記念発表会が延期になったために、実物をご覧に入れることが出来ません。パンフレットでご覧いただきご検討下さい。パンフレット2面に注文用紙がございます。歯科雑誌のシエン社かお取引の材料屋さんにご注文下さい。

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救歯会30周年記念発表会」2022年2月19日土曜日、20日日曜日です

救歯会30周年記念発表会が延期になりました。新型コロナウィルスの蔓延が一向に収まらず、東京都の緊急事態宣言もあって開催を延期することにしました。すでにお申し込みいただきました方々には多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深く深くお詫び申し上げます。半年先の2022年2月19日土曜日、20日日曜日に延期しました。詳細はこちらをご覧下さい。https://www.kyushikai.com/
どうか再び日程を調整されてご参加いただきますようにお願い申し上げます。来年の2月にお目にかかれるのを楽しみにしております。

救歯会30周年記念発表会」9月11日12日です 2021年7月

救歯会30周年記念発表会が迫って参りました。医療担当者にはワクチンがほとんど行き渡っていることと推察します。「歯界展望」誌くらいしか宣伝媒体がございませんので、あまり参加していただけないかと心配しております。どうかお知り合いの方をお誘い合わせの上ご参加下さい。

https://www.kyushikai.com こちらのホームページから案内をご覧になれます。お申し込みもこちらから。

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「生涯28」に向かっている患者さん 2021年7月

「100歳まで28歯を目指そう」と私は患者さんに説得していたのです。そのようなつきあい方をしてきた患者さんが居られます。初診は1995年10月、年齢が60歳の男性です。今年で26年以上のつき合いになり、患者さんは86歳になられます。初診時の平均寿命が76歳、現在の平均寿命は80歳、平均寿命をとうに超えました。初診時は還暦を過ぎたばかりでしたから「8020」を目標にあと20年を出来るだけ歯を失わずにいきましょう と言いながら励ましました。80歳になりますと20歯以上の28歯ありますし、平均寿命を楽に超えて元気です。
このような方に「8020」の目標は目標になりません。そのような患者さんを数人経験しますと、「8020」の次の目標が必要になってきました。こんな時に「生涯28」が目についたのです。


初診時60歳の男性、上顎16歯、下顎15歯


現在86歳31歯残存。まだまだ元気です。
これだけたくさん歯が残っていれば、100歳まで28歯が達成できそうです。これが「生涯28」です。

「8020」の次は「生涯28」 2021年7月

「8020」の達成者が50%以上になったそうです。
その次の目標が出来なければ…と思っていたのですが、「10028」「100歳まで28歯を目指そう」を私は考えていたのです。そして「救歯臨床のススメ」を訴えていたのですが、そのゴールは「生涯を28歯」を目指すことだと考えるようになっていました。そしたら、今年の歯界展望の4月号に「生涯28」というタイトルを見つけ驚きました。日本口腔衛生学会 学会声明とうたっておりました。私は口腔衛生学会の情報はまったく入手していませんでしたから、ビックリしてしまいました。是非おおくの方に目を通して戴きたい論文です。
生涯とも歯を失うことなく28歯あれば認知症にもなりにくく、心臓血管疾患になりにくく、脳卒中にもなりにくいという研究結果を報告している。それが以下のグラフです。

歯を失うごとに心血管疾患、脳卒中の発症リスクが高まるというグラフ。
70歳をスタートにしてその時点で28歯、25歯、22歯では80歳までに喪失する歯が異なり、スタートが良ければその後の喪失する歯も少なくなるという。28歯現存すると80歳までほとんど喪失しないという結果です。

「生涯28」は70歳まで28歯以上あれば80歳までもほとんど喪失しないで経過できるという提言となります。

嬉しいパーシャルデンチャーのセミナー 2021年6月

近年、パーシャルデンチャーのセミナーが少なくて淋しい思いをしておりましたら、ようやくオススメできそうなセミナーがありました。『日本歯科医師会雑誌』の6月号に掲載されていましたので、多くの方の目にとまっていると嬉しいのですが・・・。どの雑誌も「インプラント」の話題やセミナーが多いのには驚いて居ります。あれほど患者さんやテレビやメディアで問題が言われているのに・・・。
パーシャルデンチャーを出来ない歯科医がインプラントを行うのには疑問を感じます。パーシャルデンチャーとインプラントを同格で取り組める歯科医が行うのが理想ですが、残念ながらそうではないようです。このセミナーの講師の藤関先生は、もともとパーシャルデンチャーを専攻していた方なので、その先生が行うインプラントなら納得できます。

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ぜひ目にして欲しい論文 2021年4月

歯界展望、2021年4月号の 「天然歯を守る」シリーズの最終回で、「有髄歯の可能性を推察したテレスコープ義歯の一例」と題する症例報告16年の経過です。まずX線写真のきれいさが初診時と16年後との対比で位置づけと言いコントラストと言い、非の付け所がなく見事です。症例写真も治療経過と術後経過と対比が見事で分かりやすく掲載されています。症例写真の配置や並べ方にまで行き届いたレイアウトに感服させられました。そういった配慮が読みやすさにつながって、12ページもの内容をあっという間に読めてしまう論文です。初診時の重度歯周炎を最小限の抜歯で多くの残存歯を残していったのも見事です。テレスコープの支台歯をすべて有髄歯で対応したのには驚きと感動を覚えました。有髄でしたいとすべての歯科医が思いながら、臨床的な煩雑さと苦労を避けるが為に抜髄へ流れてしまう現実を、臨床家であればどなたも知っていることです。上顎の支台歯数が4歯しかないのにあの床面積で大丈夫なのかと思ったら、「食べることが仕事」だという患者さんなので・・・で納得。下顎の遊離端欠損の支台装置があれで大丈夫かと思ったら、シッカリと手を打っている設計になっているところなど、良く検討されていることが分かり「すごいなー」と感心させられました。経過観察中のトラブルを詳細に記録をとり対応している姿勢にも脱帽です。口内描記の活用や咬合の変化や義歯の動きへの考察など素晴らしい観察眼とその対応にも感服させられます。執筆は火曜会の鷹岡竜一先生です。さすが−でした。

「天然歯を守る」シリーズの100回、最終回にきわめてふさわしい論文です。私は「救歯会」というスタディー・グループを30年前に立ち上げたときの目標が「歯を守る」でした。このシリーズを毎号いつも楽しみにして居りました。今回でお終いになるのは淋しいですが、このシリーズに負けず劣らずの企画を期待して待っています。医歯薬出版の「歯界展望」誌、ありがとうございました。

救歯会30周年記念会のお知らせ 2021年3月

昨年も今年も救歯塾が中止になりました。一昨年受講された方々には大変に申し訳なく思っております。今年は救歯会が30周年を迎えますので、その記念会にはぜひご参加をお願いしたいと思っております。
日時は21年9月11日(土)、9月12日(日)の2日間です.土曜日は午後からです。会場は大手町の野村ビル(東京都千代田区大手町2丁目1-1 JR東京駅歩10分)どうか今年の予定に組み込みましてご参加下さいますようにお願い申し上げます。詳細につきましてはhttps://www.kyushikai.com。 をご覧下さい。

救歯塾の受講者から嬉しいお便り 2021年2月

一昨年の受講者から嬉しいお便りを戴きましたので、抜粋してお伝え致します。

2019年に救歯塾に始めて参加させていただきました。受け身型の講義スタイルではなく、参加型の実習付きディスカッション講義スタイルは、毎回とてつもない緊張感があり刺激的でした。私自身、臨床の現場に立って10年以上経って居るのに、ディスカッション中はいつも「自分はこんなにも深く考えることなく日々の診療に立っていたのか!」と毎回反省させられ、精神的に疲労する講習会でしたが(ホンネです)、他の先生方の様々な考え方や見方を知ることができ、本当の意味で「身につく」講習会でした。今まで、コーヌスデンチャーには大学の講義でしか関わることがなかったのですが、救歯塾に参加し、課題をやっていく中で、その難しさとともにコーヌスデンチャーの素晴らしさを知ることができました。そのおかげで(?)、現在初のコーヌスデンチャー に取りかかっています!そんな折、コーヌスクローネのエッセンスのたくさん詰まった書籍のプレゼントを、本当に嬉しく心強く思いました。本当にありがとうございました。また再会できる日を楽しみにして居ります。(石丸英美様(旧姓吉澤様))

救歯塾を中止します 2021年2月

年が明けてもコロナウィルスが一向に収まらず、むしろ感染が拡大していく傾向にあります。緊急事態宣言が発令されましたし、今後の見通しがまったく立てられません 。救歯塾を開講したい気持ちはいっぱいあるのですが、とても無理な様子です。塾の回数を減らして行うのはどうかと考えてみたのですが、それとても難しいという予測で、苦渋の選択ですが救歯塾を中止します。一昨年の救歯塾に参加された先生方には誠に申し訳なく思っておりますし、深くお詫びを申し上げます。昨年1年間をお待たせしておきながら今年も中止とは…なんと言ってお詫びをして良いものやらその言葉が見つかりません。深く深くお詫びを申し上げます。

すごい論文を見つけました 2021年1月

すごい論文を見つけました。歯界展望の2020年11月号972P〜989P「いかに治したかではなく、いかに関わったか」川瀬恵子先生の論文です。タイトルからして、これはただ者ではないなと思いましたが、内容を見てからは本当にすごい方だなーと納得しました。ケースプレゼンテーションのレベルが高く、しかもX線写真や症例写真が緻密で詳細にわたって記録がとられていて、小気味が良いのを通り越して感動させられました。是非多くの方に目にとめて欲しいと思いました。

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