★雑誌編集ウラ話 2003年バックナンバー

2003年12月号から

西山 寛先生の「歯科鋳造技術の再検討」は、間接法に悩んでいる方、問題を感じておられる方には、大変参考になる論文です。とりわけ鋳造精度を左右するリングライナーについての検討です。歯科理工学なんてとんと忘れてしまったかもしれませんが、ここでもう一度おさらいするつもりで読んでみては如何?

2003年11月号から

中林宣男先生の「歯科治療における歯質接着のかかわり」は、その道40年間の重みが感じられる内容です。歯科医でなく理工学の発想からでる考察には、ハッとさせられる表現がいくつかあります。「歯科医師は二次カリエスによる修復物の脱落に悩んできたが、原因が歯科材料側か象牙質側かで研究の方向が違う。脱落は切削象牙質面の経時的収縮によるので、露出象牙質に人工エナメル質を生成させると良い…」。日々の臨床で忘れている問題の本質が見えてくるすばらしい論文です。

須貝昭弘先生のフィルムライブラリー「成長期の咬合育成」は、ファミリーデンティストとして長年取り組んできたエッセンスがまとめられています(79ページ)。成人の欠損歯列の症例にも造詣の深い先生だからこそ成長期からの咬合育成をリコールキセルされている姿に感銘を受けます。

日本歯科医師会雑誌の表紙にご注目あれ!

この数ヶ月前より日本歯科医師会雑誌の表紙を飾る素材を提供しております。歯科関係のモノを素材にしてカメラマンとデザイナーが作ってくれたものがこれらの表紙です。私の診療室に押し掛けてこられ、変わったモノはないかと物色する中から、これはどうかと全部診療室にあるものから抜粋してみました。表紙をよくご覧になって、モノがなんだかよく分からないと思われたら、見開きの目次ページの右下に小さく解説がされております。こんなモノがこんなにきれいに仕上がるなんて…といつも感心して眺めております。私だけの楽しみにしておきたかったのですが。

2003年10月号から

新田 浩先生の「歯肉縁下プラークコントロールの概念の変遷」は、こんなにわかりやすく整理されていて、見事な論文です。ルート・プレーニングは、この30年間大きく概念が変化しています。その変化を大きく3つに分けて解説しています。デンタルハイジーンの別冊にも書かれていますが、こちらには新たな付図も追加され、より分かりやすく書かれています。

木村敏之先生の「歯周疾患を伴う欠損歯列の処置」は、もっとも難症例が集中するこれらの症例の考え方を整理して述べています。木村先生は、インプラントや自家歯牙移植を得意にしていて、それでいて保存の難しい歯をとことん残すタイプの歯科医です。今月と来月の2ヶ月連載です。続けてお読み下さい。木村先生はデジタルオタクという側面 もあり、彼のホームページも一緒にご覧下さい。私のホームページのリンクから接続しております。とてもおもしろい方です。

奥平紳一郎先生の「愛知県歯科医師会における学術事業の現状と生涯研修への提案」は、愛知県の学術委員を長くやってきて、今回県の学術担当理事になられ、学術事業と生涯研修のあり方を、その熱い想いで語っています。奥平紳一郎先生といえば、X線写真がうるさい。日本歯科医師会雑誌にも執筆されているので思い出してほしい。

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2003年9月号から

法花堂 治先生の「クラウン・ブリッジの咬合採得」は、咬合調整量の減少にスポットを当てたなかなかの論文です。日常臨床で、咬合調整量の多さに頭を抱えてしまうことがしばしばあります。どうしてなのか、咬合採得のミスなのか、技工士のエラーなのか、間接法の限界なのか…というような壁にぶつかり、悩みが深まるばかりです。「咬合が高い理由」を解説し、問題点の整理を試み、もっとも影響の大きい咬合採得にスポットを当てて、そのヒントを説明しています。参考文献に挙げた「松下和夫」先生の論文をきっと読みたくなると思います。いや、論文を読むだけではなく、その先生から直接話を聞きたいと思うのは私だけでしょうか?

二階堂雅彦先生の「歯周病のメインテナンスを効果的にするために」は、どのような症例にどのようにメインテナンスしていくかを具体的に解説しています。著者の米国大学留学経験を生かし、できるだけEBMに近づけようとする姿勢が読みとれます。論文の読み方という面でも参考になります。

柳沢孝彰先生の「再石灰化による齲蝕の予防と初期齲蝕の自然修復」は、近年注目されている脱灰と再石灰化のメカニズムがわかりやすく解説されています。エナメル質表面が顕微鏡的には脱灰と再石灰化が繰り返し行われている中で、そのバランスが脱灰側に傾けば齲蝕となり、再石灰化が上回れば自然修復を可能となります。そこでは唾液とキシリトールが大きく関与しているとのこと。フッ素の関与については疑問を投げかけています。

「生涯研修グランドデザインで変わる会誌の役割」(座談会)は、日本歯科医師会雑誌の歩みと日歯の生涯研修事業との関連性がよく述べられています。「そうだったのか」とか「そういう意図があったのか」とか、あらためて知らされることがあります。生涯研修自分のためという時代から、社会に対して説明責任という視点から研修が必要になってきています。今後の生涯研修のあり方を理解するためにも、今後の歯科医の研修の方向性を探るためにも、一読をオススメします。

2003年8月号から

野嶋昌彦先生の「クラウン・ブリッジの印象採得のポイント」は、印象採得を失敗しないためのポイントをわかりやすく述べています。日常で頻度の高い処置なので悩まされていることも多いでしょう。寒天アルジネートの連合印象や、シリコーン印象など、身近な臨床ヒントが網羅されています。レジン個歯トレーによる印象採得のポイントも、かゆいところに手が届くような懇切丁寧な解説がされています。

2003年7月号から

田辺晴康先生の「有病者の歯科治療で配慮すべきこと」は、6月と7月号の2回連載です。とくに7月号の「有病者に投与されている薬剤と歯科治療」では、身近な具体例が出ていて助かりました。私の医院のある患者さんの歯肉がどうにも良くならなかったので、内科で処方されている薬剤を内科医に依頼して交換していただいたら、見事にきれいに治ってきました。老人保険の患者さんがますます増えてきている状況では、有病者や何らかの薬剤を服用している患者さんが多くなっています。もう一度その辺を見直してみては如何でしょう。

2003年6月号から

村井雅彦先生の「患者参加型の診療情報の提供」は、なかなか読みごたえのあ内容です。先生の思いがひしひしと伝わってくる文面です。診療室のシステムを全部公開し、惜しげもなくシステムを紹介している姿勢には、頭が下がります。「インフォームドコンセントを患者さんとのトラブル防止につなげる発想には反発を感じる」、「ふとした会話の中で、いままで何度も説明してきたことを患者さんが全く理解していないことに驚かされる」「今までもモチベーションや保健教育を工夫してやってきた…」「赤染めは術者の磨き残しのチェック…」などの文章には、ドキッとさせられ、共感させられることが多い。

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2003年5月号から

村山洋二先生の「歯科医師は健康の管理人である」は、最近特に注目されております、歯周疾患と全身疾患との関連性が述べられています。昔は糖尿病があると、歯周疾患が治りにくいという話でしたが、最近の研究で、歯周疾患があると糖尿病を起こしやすいということが分かってきました。論調は少し難解ですが、歯科医療のパラダイムシフトまで発展する内容です。

根岸康雄先生の「下顎総義歯の安定を図る」は、臨床で悩まされる下顎総義歯の印象採得にスポットを当てています。臨床家の多くが苦労している印象採得を、自分の試行錯誤の経験から解説しています。実践例からの論調は、共感するところが多いと思います。

2003年4月号から

上野道生先生の「多数歯修復を行った10年以上経過症例から学ぶ」は、なかなかの力作です。症例の術後経過を追うことは大変難しいものです。それを紙上で発表することはもっと難しいことです。しかも、10年以上前に行った処置ですから、今から考えると未熟であって当然です。それを現時点で批評されたのではかないません。上野先生のお人柄がにじみ出ているすばらしい報告です。ご一読を!

2003年3月号から

小鹿典雄先生の「片側遊離端欠損症例の処置を考える」は、多くの処置オプションがあって悩む場合にスポットを当てて解説されている。処置をしないというオプションもあり、それに延長ブリッジ、パーシャルデンチャー、自家歯牙移植、インプラント、などがあって、EBMに基づいてインフォームド・コンセントを行うには、まだ道は遠いという感じでしょうか。

2003年2月号から

「望まれる歯科診療録」の特集号です。「POMRの実践を目指して」というサブタイトルを冠して発刊されました。この特集は、賛否両論あります。今もまだ激論が続いております。この内容が保険診療の個別指導の場で「見本」のように扱われて、「こう書いていなければいけない」というような利用のされ方が危険であるという声です。その考えも一理あります。ただし、カルテ開示を求められた場合には、誰が見ても一目瞭然で分かりやすく簡潔明瞭なカルテが望ましいのです。そのためにも、POMRの考え方を応用したカルテが望ましいと思います。私が昨年2月に、東京歯科大学の教職員を前にカルテの書き方を講演してきましたが、それがまさにPOMRに則ったカルテの実践です。この論争は、しばらく続きそう…

2003年1月号から

石井正敏先生の「女性と歯周病」は、現在の歯周病の考え方の変化を全身との関連で見ていくことを進めています。1999年に米国歯周病学会では新しい歯周病の分類を発表しました。その関連で、女性と歯周病の関係を具体例を交えて解説しています。カラー口絵とともにお読みいただきたい。

熱田 充先生の「貴金属合金接着システムを応用した歯冠修復法」は、タイプⅣ金合金や陶材焼付用金合金や金パラ合金の合着にどのような接着材とプライマーを用いるのがよいかのヒントが述べられています。金属とレジンとの接着をライフワークとして30年以上の研究をしてきた熱田教授の論文には、きわめて重いものを感じます。

「再製医療」の座談会は、きわめてホットな上田 実(名古屋大学教授)を含めて、21世紀の歯科医学の未来をどう開き、どう変えるものになるかを語っていて、とてもおもしろい内容です。GTR法やエムドゲインなど再生療法は身近になりつつありますが、「歯」と「歯周組織」が再生できれば…という議論です。

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