★雑誌編集ウラ話 2002年バックナンバー

2002年12月号から

長谷川成男先生の「クラウン修復のための隣接接触部の考え方」は、どうしても書いていただきたかった方の論文です。長谷川先生は、私が最も尊敬する先生のお一人です。長谷川先生の「Hanauの咬合器に聞く」論文は、約25年ほど前のものですが、今でも忘れることのできない一つです。先生の名著「咬合学序説」は、この書籍もすばらしいものなのに、すでに絶版で、入手することが出来ません。後輩の歯科医のために、ぜひ増刷してほしいと思います。「クラウンは歯頚部マージン、咬合面、隣接接触部に分けて考える」という明晰な分析から始まる文章は、なぜ隣接接触部なのか、クラウンに関してそこの何が問題なのか、奥の深さを知らされ、日々忘れかけていたクラウンの問題を再考するよい機会になります。

2002年11月号から

法花堂 治先生の「患者さんに受け入れてもらえるパーシャルデンチャーとは」は、患者さんに嫌われる可撤性義歯をもっと受け入れてもらえるようにするための考え方を分かりやすく解説しています。「設計の基本」、「支台装置の考え方」、「メンテナンスと経過観察」など、私の考えているパーシャルデンチャーの基本的考え方ときわめて近いので、違和感なく読めます。

「みんなでやろうかかりつけ歯科医」を私が書きました。9月4日に行われた社保指導者研修会での講演内容の要約を書いてあります。この研修会のテキストは、一般の方には手に入れることが出来ないために、そのテキストの内容から約1/3を抜粋しておきました。必要最小限の内容ですが、伝えたいことの意図は読みとれると思います。文献も挙げておきましたので、ページ数の制限で書けなかったことを補う意図もありますので、ぜひ参考文献もお読み下さい。

2002年10月号から

「あとがき」を私が書きました。「車と電機の分かれ道」(58頁)は、あのビッグな松下と日立が凋落していく現実を述べています。過当競争の歯科医療界にとって考えさせられるところがあります。灯火親しむ秋、10月号を読みながら秋の夜長をお楽しみ下さい。

井出吉信教授の「Micro-CT でのぞく顎骨・歯牙の三次元的構造」は、今後の研究に期待できるものです。従来は内部構造を見るのに切断して二次元的に観察していたものが、壊すことなく切断もせず、三次元的に観察できるので、形態学の新たな展開が可能となってきます。

松島良次先生の「かかりつけ歯科医とメインテナンス」は、この4月の保険医療費改定に新たに登場したメンテナンスの実際面での解説です。掲載している5症例とも参考になる見事な症例ばかりです。症例解説に付けられた「白線は1日にしてならず」や「病は毛先で治せ」などの表現が、とても学術的とはいえませんし気になるところですが、新鮮に思えることも確かです。年代の差でしょうか?

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2002年9月号から

立和名靖彦先生の「デンタルX線写真の撮り方・読み方」は、カラーグラビアも含めてお読み下さい。先生は北九州歯学研究会のメンバーで、下川公一先生の指導を受けているだけあって、なかなか内容のあるものに仕上がっています。

藤関雅嗣先生の「インプラント除去に至った長期症例から学ぶ」<その2>は、7月号の続編です。13年間の経過観察からいくつかの問題が起きて、それへの対応を詳細に報告されています。上手くいった症例から学ぶものは少ないが、いろいろトラブルに遭遇した症例からは学ぶものがたくさんあります。

ブック(58頁)に私が書評を書いています。奥田克爾先生の「命を狙う口の中のバイキン」の書評です。歯周病は以前から「糖尿病」があると治りにくいといわれ、リスクファクターとして挙げられていましたが、最近は歯周病があると糖尿病を悪くさせるということが分かってきました。歯周病をきちんと治療すると、糖尿病が改善されるというところまで来ました。タイトルが恐ろしいけど、やさしいイラストであたたかい本です。イラストは著者のお嬢様が描いたという。患者さんにも見せられます。

2002年8月号から

この8月号は異変の号です。本来は「歯科診療録-望ましいカルテ-」という特集号が出る予定でした。原稿が集まり校正も終了して、さあ印刷にかかろうという寸前で「待った」がかかりました。編集委員会でも「カルテの書き方」という特集は、「このように書かなければいけないという見本にされては困る」というトップの意見を伺った上での編集でした。いま世論が「カルテ開示」や「情報開示」に向かってすごいスピードで動いています。医師会も「カルテ開示」を了承しました。歯科も「カルテ開示」を拒否する根拠がありません。その時に困らないようにと、参考資料となるカルテの書き方サンプルを特集しました。執筆された先生方には、貴重な原稿をいただきながら出版できなくなると、編集委員会の責任問題になります。委員の任期中に修正しながらも出版されるように努力したいと考えています。乞うご期待!

金子一芳先生の「オール・セラミックスの臨床」はフイルムライブラリーです(61P)。ビデオテープとCD-ROMと両方があります。解説文をご覧になれば是非みたいと思われるでしょう。オススメです。

書評「う蝕予防とフッ化物の応用」、私が書きました。「う蝕発生のメカニズム」はいい解説です。分かりやすいイラストで、脱灰と再石灰化の過程を大きなグラフのステファンカーブで解説されています。

2002年7月号から

平井泰行先生の「診療報酬の改定を終えて」は、この4月保険診療費改定の基本的な骨子を解説されています。"かかりつけ歯科医機能"の一層の推進を図ること、"歯周疾患のメインテナンス"の導入、が大きな柱となっているという解説です。[質の向上]について、数値以上に活用されると、マイナス1.3%がプラスに移行できる可能性が潜んでいます。それが、かかりつけ歯科医機能の推進と、メインテナンスです。従来より、歯周疾患のメインテナンス部門が、なかなか面倒で手間がかかり採算に乗らないということから、自由診療でPMTCという名目で患者さんから頂いていた歯科医も多いと聞きます。私の医院では保険で不採算を悩んでいたものですから、今回の改定のメインテナンスで保険導入することが出来て、実は喜んでいます。大いに活用したいと考えています。同じように思われた歯科医は、どうぞ活用して下さい。平井先生はじめ誉田中医協委員の先生に、そのご努力に深く感謝申し上げます。

藤関雅嗣先生の「インプラント除去に至った長期症例から学ぶ」<その1>は、近年話題の多いインプラントを術後経過から見直しをしている論文です。10年前より、5年前より、確かにインプラントは改善され予知性が高くなってきていますが、一方ではトラブルや訴訟が多いと聞きます。長期経過のインプラント症例から見直しをしてみると、そこにインプラントの共通の問題が発見できるのではないかと思います。術後経過をシッカリと追いかけている著者の、インプラントへの分析に示唆するものが読みとれると思います。

田畑泰彦先生(京都大教授)の「再生医学と生体組織」は、これからの再生医療に置ける知識の整理として一読をお薦めします。細胞を利用して生体組織の再生を行う新しい医療の試みが再生医療です。この実現には、再生現象に関する細胞の基礎生物医学研究が大切ですし、細胞による再生誘導のための場を構築することが必要です。この再生の場を構築するための方法論が生体組織工学です。

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2002年6月号から

永田省蔵先生の「ゴシックアーチに取り組んでみて分かったこと」は、是非一読をお薦めしたい論文です。ゴシックアーチトレーサーは、安価で手軽にできる下顎位診断法です。ゴシックアーチトレーサーは総義歯にしか使わないという声を良く耳にしますが、むしろ欠損歯列に使って欲しいと思うのです。総義歯の下顎位を正確に採得するのも大切ですが、歯のある症例にこそ口内描記法が必要だと思うのです。私は自家製のゴシックアーチトレーサーを20年以上前から使っています。

佐々木 勉先生の「歯周病にかかわる力の問題」(その2)は、5月号との連載です。プラークに起因する炎症と咬合性外傷の合併に関しての論争の歴史にもふれて、理解の整理に役立ちます。

2002年5月号から

「EBMを歯科臨床に活かす」座談を、私が司会で行いました。EBMという言葉だけは良く耳にしますし、補綴学会でも昨年はEBMを中心に据えて運営されました。ところが、かけ声だけはよく耳にしますが、こう使っているとかこのように使いたいといった具体例がありませんでした。そこで今回は、実際に臨床でEBMをこのように活かそうとしているという実例を踏まえて座談することにしました。出席者の宮地建夫先生は、私の同級生で親友です。スタディーグループ火曜会で20年以上の仲間です。宮地先生は臨床疫学やEBMの実践の第一人者です。武田孝之先生は私の後輩ですが、EBMをインプラント治療に活かしている第一人者です。牛島 隆先生は、熊本のスタディーグループのメンバーで、グループで臨床データを蓄積している貴重なグループです。この3名とは親しくおつき合いをさせていただき、どのようにEBMをとらえ、どう活かしているかを良く伺っていたので、安心でした。
限られたページの中で、中身の充実した座談ができたと喜んでいます。各先生の大切な汗の結晶のデータを掲載しております。用語解説も必要最小限掲載しております。保存版としてご利用下さい。

佐々木 勉先生の「歯周病にかかわる力の問題」(その1)は、「挺出」をキーワードにして、歯周病の治療や改善を論じている。切り口や解説の進め方が臨床的で分かりやすいです。佐々木先生は札幌臨床歯科研究会の代表で、デンタルハイジーンにも記事を連載しています。5月号と6月号に連載されます。続けてお読み下さい。

2002年4月号から

伊藤公一先生の「歯肉退縮の処置法」は、日常よく目にする歯肉退縮をどう処置するかの視点で、分かりやすく臨床例で解説しています。伊藤公一先生はきわめて臨床をよくされている教授です。伊藤公二先生のお兄さまで、2〜3年ほど前に教授になられて、バリバリの教授です。歯肉もきれいで、手術もきれいなのに、カラーでお見せできないのがとても残念です。是非、講演をお聞き下さい。臨床例がとても豊富で、理論も臨床も納得させられます。

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2002年3月号から

西山 寶先生の「仮着がセメントの合着・接着強さに及ぼす影響」は、近年の接着系レジンセメントを使う場合の注意として、重要なポイントが書いてあります。燐酸亜鉛セメントは、仮着剤を選びませんが、接着系レジンセメントは、仮着剤や歯面処理に大きく影響されることが述べられています。

座談会「キュアとケアと美しさ」は、錚々たる方が出席者として参加されています。出版ジャーナリストの秋元氏も参加され、論客揃いです。それだけに読み物としては面白いし、教えられるところも多いのですが、何かが足りない気がします。それは、臨床というか、患者さんが前面に出てこないことだと思うのです。

西村周三先生の「医療改革への提言」は、医療経済学の第一人者だけに、示唆に富んだ提言が述べられています。医科の分野では、EBMの重要性が認識され、来年度からはかなり具体的にデータの収集が始まることになっている。歯科は、大学における「疫学研究」の不備もあって、こういった方向で医科より後れをとっている。個人のかなり長期にわたるデータの蓄積が必要であると力説しています。

2002年2月号から

北川原 健先生の「患者データの蓄積の実際とその意味」(その2)は、1月号に続く連載です。「コンピューターを、ただ単にカルテとレセプト処理のためでなく、患者データの収集、情報提供、保存、抽出にも利用することによって…」と熱っぽく語りかける文面には、説得力があります。著者が開発した歯周病データ管理ソフト「歯苦歯苦(しくはっく)」は、健康保険の歯周病治療のガイドラインにも則っているので、使いやすくなっています。ファイルメーカーProというとても扱いやすいデータベースソフトをベースにして、MacintoshとWindowsどちらにも使えるソフトです。お問い合わせは、オーセンティック FAX:0120-80-4989へどうぞ。

山根源之先生の「歯科小外科における縫合のポイント」は、縫合の基本テクニックを分かりやすく解説しています。多くの図を使っていて理解を助けてくれます。

2002年1月号から

下川公一先生の「エンド・ペリオの診断と処置」は、平成14年新年号を飾るにふさわしい大物臨床家の登場です。しかも、この分野の第一人者です。この論文を見逃すようでは、臨床家として恥ずかしい。提示された7症例のすべてをカラーでお見せできないのが残念ですが、カラーグラビアに3症例だけカラーになっています。

北川原 健先生の「患者データの蓄積の実際とその意味」は、来月号と2回連載でお届けします。歯科大学卒後30年以上も思い続けてきたことの集大成を読みとれる名著です。これも平成14年新年号を飾るにふさわしい大物臨床家の論文です。25年前のスタディーグループ「0の会」発足時の思いから発し、「臨床に入って感じたこと」、「どんな歯科医になりたかったのか」、「定期検診のシステムのデータに見えたもの」と続く小見出しもとても分かりやすく読みやすいものです。そして、定期検診を受けることがいかに残存歯を多く残せているかを、日本人のデータと北川原歯科医院のデータと比較してみせられると、驚かされます。

原島 博先生の「顔を科学する」は、日本顔学会からのメッセージです。歯科と関連が深い顔と、その意味するところを分かりやすく解説してくれています。是非一読を。

長谷川真理子先生は、「人間と科学」というコラムに連載で登場する方で、今月号の「猿まね・模倣・学習」はそのスタートです。「模倣と学習」、「模倣における猿と人間の違い」など、示唆に富んだ事柄が多く、考えさせられます。これも是非一読を。

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