★雑誌編集ウラ話 2001年バックナンバー

2001年12月号から

西原英志先生の「垂直性骨欠損」は、日常多く経験する垂直性骨欠損への対処法を、分かりやすく解説している。非外科VS外科を明快に区分し、処置法選択の留意点やその評価にも論評していて、好感が持てます。症例も見事なもので、6症例とも大いに参考になります。

後藤忠正先生の「少数歯遊離端欠損の考え方と設計、<その2>」は、11月号に続いての論文です。遊離端義歯は、患者さんが使ってくれないと何ら意味のないものになってしまいます。装着感と異物感のバランスをはかるクラスプ設計法を、具体的に症例をあげて解説しています。アタッチメント義歯やコーヌス・テレスコープの10年以上にわたる経過観察は見事です。

宮下和人先生の「健康寿命と予防医学」は、日本歯科医師会役員によるメッセージのコラムですが、大変示唆に富んだ文章です。明快な文章と解説は、先生の頭脳の明晰さを表したものでしょう。日本歯科医師会にこの人ありとのもっぱらの評判です。

「あとがき」(68ページ)は、私が書きました。ご興味のある方はご一読を。そしてご意見をお聞かせ下さい。

2001年11月号から

後藤忠正先生の「少数歯遊離端欠損の考え方と設計」は、パーシャルデンチャーでの対応についての論文です。少数歯遊離端欠損症例では、補綴の意義についても根拠が薄く、最も犠牲の少ない可撤式の補綴は、患者さんが使ってくれないという問題点もあります。後藤先生は私と同級です。しかも、学生時代に写真部で6年間親しくさせていただきました。先生は大学卒業後は医科歯科大の大学院へ進み、しばらく私との交際が途絶えました。後藤先生は、リジットサポートを提唱した先生で、コーヌスクローネの第一人者でもあります。クラスプからコーヌスクローネへ移行するプロセスは、私と全く同じ考え方なので、最も共感できる歯科医の一人です。是非一読を。

2001年10月号から

10月号は、編集委員は、ほとんど編集に関わっておりません。すっかり楽をさせていただいております。「会務報告」の特集や、「クスリ」の特集なども、編集委員はあまり関わっていません。

レポートで、広多 勤氏の「医療制度改革試案」は、良くまとまっていて読み応えがあります。是非一読を。

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2001年9月号から

服部夏雄先生の「欠損歯列の難症例」は、理解しにくい欠損歯列を、キーワードの解説から分かりやすく解説しています。残存歯数、咬合支持、Eichner分類、受圧・加圧、すれ違い咬合、などの欠損歯列特有のキーワードを理解できないと、欠損歯列を読むことができません。欠損歯列を読めることが、すなわち難症例の鑑別ができるということになります。難症例への対処法として、自家歯牙移植やインプラントについても解説されています。

中尾勝彦先生の「欠損補綴のフォローアップ」は、すれ違い咬合の23年間の追跡と様々な変化に対する対応を述べています。これほど長い術後経過も貴重ですが、すれ違い咬合への対応という面でも一読に値します。

ブック(書評)(57ページ)は石井正敏先生の著書「タバコをやめよう」で、私が書評を書いています。愛煙家の歯科医師に、禁煙指導を勧めたい歯科医師に、一読を勧めたい。日本歯科医師会の会館も禁煙にして欲しいものです。

「生涯研修事業の新たなる展開に向けて」(座談会)は、日本歯科医師会主催の生涯研修セミナーの参加率が50%を割ってしまったという現象に対して、どう考えるかの座談会です。セミナーのテーマや講師の選定、事前案内の不備、受講評価の問題、など多くの問題があって受講者が減ったのでしょう。臨床家の講師には素晴らしい方が選定されていますが、企画・運営する側に熱意と情熱が失われています。私も講師の経験がありますが、多くの県で、事務的にノルマを果たせばいいといった対応でした。日本歯科医師会が学術に本腰を入れているかどうかが一番の問題です。受講者が50%を割ったのに、研修事業を抜本的に見直そうという姿勢が見えてこないのが問題です。

2001年8月号から

野嶋昌彦先生の「欠損歯列における自家歯牙移植とインプラントの併用」は、大変刺激的な症例報告です。自家歯牙移植とインプラントの併用は、新しい方法で期待も大きい。従来、インプラントはインプラントをする方たちだけで論じられ、自家歯牙移植はそれをする方だけで論じられてきました。両者を同じ土俵の上に上げて、メリット、デメリットを論じていかなければいけない。一人の患者さんの口腔内に、インプラントと自家歯牙移植の両者が適応できなければ、そのメリットを最大限に生かすことができない。

丸森英史先生の「生活を見据えた歯科医療への取り組み」<その2>は、管理栄養士の鈴木和子先生を加えての執筆です。鈴木先生は子供への食教育に関心を寄せ、年間カリキュラムを作って2つの幼稚園に食の教育を実践してきたことからのメッセージです。

ビッセン宮島弘子先生の「歯科医師のための最近の眼科」は、近年の眼科手術の大きな進歩について解説されている。先生は東京歯科大学水道橋病院の眼科に勤務されていて、その評判から手術の予約は6ヶ月から1年待ちともいわれている。とりわけ、「近視」と「白内障」は、ほとんど入院なしで手術が行われている。早い方は翌日社会復帰できる。歯医者の予約が殺到しているらしい。

2001年7月号から

井出吉信先生の「ルート・プレーニングのために知っておきたい解剖学」は、歯周治療の基本的重要事項の解説がされています。ルート・プレーニングは歯周治療の最重要テーマです。ルート・プレーニングが歯周治療の成否の鍵を握っています。そのルート・プレーニングを成功させるために、ぜひとも衛生士と共にもう一度勉強し直して下さい。セメント質、歯根膜、歯槽骨、歯肉、露出歯根面、歯根の形態、など必須の項目が並んでいます。深いポケットのなかは見えません。歯根の形態を良く知っていないと、ルート・プレーニングが成功しません。ぜひ一読を。

丸森英史先生の「生活を見据えた歯科医療への取り組み」は、患者さんにブラッシング指導を長く関わってきてのエッセンスを熱っぽく語っています。生活習慣病と歯周病の関連から、感染症としての認識や、患者さんという人間との関わりなどを、歯肉も読みながら考えていくプロセスを語っています。2回シリーズです。

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2001年6月号から

黒岩恭子先生の「食支援の歯科医療」は、先生の長年の取り組みのエッセンスを述べてくれています。障害児への取り組みを続けておられた体験を、寝たきりの患者さんへ活かすことが出来て、持ち前の対応の幅の広さは抜群です。補綴が専門でない先生に、義歯のことを教えられて、補綴専門の私は恥ずかしい思いをしながら読ませていただきました。クルリーナ歯ブラシ、黒岩医院オリジナルグッズ、入れ歯洗い桶、などの考案は、現場で患者さんのことを思えばこそ浮かんでくるアイデアばかりで、そのご努力に頭が下がります。「汗と涙を流した数ほど人は成長する」という言葉を引用されていますが、黒岩先生だからこそ言える言葉だと重く受け止めています。

2001年5月号から

「患者中心の医療」を、日経の医療局開発長の広多 勤氏が書いています。医学教育が、知識詰め込み型から脱却し、医局講座制の壁を越えて、変化してきています。「患者満足度」や、「医療の質」などの気になるキーワードも、1ページの中に濃密に解説されています。

2001年4月号から

千葉英史先生の「デンタルX線写真の質の向上を図る」は是非読んでいただきたい。先生の几帳面さと着実さと緻密さがよく出ている論文です。自作の手現像器がまた安価で、テストもされていることにも敬意を払いたい。

生涯研修セミナーの講師・講演内容が、4月号と5月号に紹介されています。千葉英史先生をはじめとして、鈴木 尚先生、押見 一先生、谷口威夫先生、などの臨床歯科を語る会でなじみの先生の名前を見ると、つい聞いてみたくなります。聞きたい講師と日程と開催県を見ると、なかなか聞けないところになっているのが残念です。以前私もこの生涯研修セミナーの講師を務めましたが、県によって落差が大きく、参加者が一杯のところと、がらがらのところがありました。知った顔をあまり見かけないというのも、さびしいものです。今年からは、講師と講演内容を事前に紹介して、講師のプロフィールを早めにお知らせしようということにしました。是非いい講師のセミナーをお聞き下さい。

2001年3月号(パソコン特集号)から

昨年8月から取り組みましたパソコン特集号がようやくできました。パソコンに関するマニュアルなど市場にあふれておりますが、歯科医師に特化した使い方の情報が少ないと感じておりましたので、本特集では歯科医師に限った使用実例を重点に特集しました。編集委員は必ず書くことと言われて、やむなく書かされる羽目になりました。渡邊 滋、井出吉信、加藤寛次、黒川誠一、富山雅史の各先生と、黒田昌彦、が執筆しております。
限られたページで解説する関係で、理解しにくい部分があると思いますが、すべての著者のメールアドレスが記載されておりますので、著者にメールで問い合わせていただきたい。

筒井純也先生の「デジカメを使って患者さんに電子手鏡として見せる」は、なかなか分かりやすい内容で、実用的です。スライド写真(アナログ)とデジカメとの棲み分けも明快です。それほど高価でないデジカメを使って(実売5〜6万円程度)、14インチテレビモニター(3〜4万円)に、手鏡風に拡大して見せられるメリットは大きい。

金子 純先生の「患者説明用のデジタルプレゼンテーション機材について」は、筒井純也先生の論文と併せて読まれることを薦めます。デンタルX線写真を大きく拡大して患者さんに見せる方法は、多くの歯科医が使いたい方法です。

真田浩一先生の「デジカメで撮影した画像を、きれいに見やすくする」は、デジカメで口腔内を撮影する場合の注意や助言が、きわめて具体的でありがたい。ページの関係であまり詳細に書いてない部分は、参考文献を読んでいただきたい。

渡邊 滋先生の「パソコン奮闘記」は、パソコンに取り込んだ方なら誰でも一度は経験する楽しい経験談です。先生の文章力のおかげで、読みやすく分かりやすく、臨場感をもって伝わってきます。先生は編集委員会の副委員長で、この特集号の責任者です。

富山雅史先生の「おすすめホームページアドレス」は、大変な苦労の代物です。歯科に関連するホームページだけではなく、生活必需品的なホームページも網羅されていてありがたい。

黒田昌彦の「パソコン名簿管理で、かかりつけ患者さんを増やす」は、かかりつけ歯科医になるには、顧客名簿を持ちましょう、というスタンスです。顧客名簿とリコールはがきやバースデーカードなどを一体のものとしてコンピューターで管理しようということです。ソフトも「ファイルメーカーPro」と「宛名職人」だけです。

秋元秀俊氏の「IT革命と情報リテラシー」は、リテラシーを知らない私には大いに有益な記事でした。「歪んだ情報のなかから正しい情報を嗅ぎ分けるリテラシー(読み書きの能力)が求められている。(中略)メーカーのパンフレットを鵜呑みにして患者に説明するようなことでは、専門家と呼ばれなくなるかもしれない」。いつもながら、ハッとさせられる文章です。「たとえば歯科医院のホームページを作ったとしよう。教えたいことと、知りたいことの間には大きな隔たりがある。患者に知って欲しい診療ポリシーについてメッセージを送ったとしても、誰にも届かないかもしれない」。これまた、私のことを言われているのかと思い、ドキッとさせられております。

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2001年2月号から

亀井達雄先生の「調節性咬合器を臨床に活かす」は、最近、咬合に関する話題の少ないなか、是非とも読んでいただきたい論文です。口内描記法とチェックバイト法を利用して、調節性咬合器を臨床で使う方法を、ステップ写真で分かりやすく解説しています。

富樫 潔先生の「臨床における経過観察の重要性」は、自らの処置の術後経過を追いかけることが、自己研鑽につながるということを、体験のなかから熱っぽく訴えている。なぜサイナスリフトのような最先端医療まで手がけるのか、という疑問に応える文章でもある。

秋元秀俊氏の「悪くないときにかかる」は、なかなか味わいのあるコメントだ。医療ジャーナリストとして、造詣の深さをにじませる一ひねりある文が、何とも言えない重さをもって響いてくる。患者・医者関係をとらえ直すという視点がいい。

「あとがき」は私が書いています。これもついでに読んでみて下さい。

歯科医師会雑誌は読み応えがあるという評価を耳にしました(1月29日)

「日本歯科医師会雑誌は、最近とみに充実してきて読み応えがある」という嬉しい声を聞くことができました。「お金を払っている商業誌よりも読みたい記事が多い」という声も耳にしました。歯科医師会雑誌はお金を払っていないわけではなく、会員の会費から賄っています。購読費をあらためて徴収していませんから、タダの本と思われているのかもしれません。いずれにしましても、良いという評価をいただけたことに素直に喜びたいと思います。商業誌の編集者の方々に「負けないように頑張って欲しい」と申し上げたい。

2001年1月号から

斉藤純一先生の「片側遊離端欠損の診断と処置」は、あの「離れ一歯」を発見した著者の論文です。「離れ一歯」の考え方のその後として読んでいただきたい。元火曜会会員で、宮地建夫先生の医院に勤務した経験は、欠損歯列への取り組みをなお深めている。歯の欠損の進行プロセスに関する考察は鋭く面白い。

西堀雅一先生・豊田真基先生の「GTR法の再評価」の2回目で、臨床例が多く出ています。エムドゲインによる症例報告もあります。2号連載を続けて読んで下さい。

秋元秀俊氏の「「もっと説明」「もっとサービス」ではない」は、元ザ・クインテッセンスの編集長だけに、1ページながら読み応えのある文章です。歯科治療の特殊性をよくとらえていて、患者さんの立場に立っての代弁です。ぜひ一読を!

広多 勤氏の「21世紀の予言」は毎号示唆に富んだコメントが書かれている。氏は日経BP社の医療局開発長で、医療関連情報にはきわめて早く、的確で、深い。1月号のみならず続けて読んで欲しい1ページだ。

黒田昌彦の「書評」欄をぜひお読み下さい。69ページに、金子一芳先生の「パーシャルデンチャーのデザイン」の書評を書きました。知りすぎている先生の書評は書きにくくて、苦労しました。金子先生の「臨床ファイル」シリーズのNo.3です。No.2と対比しながら読む楽しみを味わって下さい。欠損歯列に取り組んできたプロセスがよく分かります。著者の考え方がどのページにも伝わるほど内容のある本です。是非買って読んで下さい。

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